穀十田屋と浅野屋の確執
この映画の中で「お金は持っているけどあそこは守銭奴。一文の得にもならない今回の話には一銭も出さない」と言われ続けていた造り酒屋で質屋の浅野屋甚内(妻夫木聡)に町民の誰かが話を持ちかけたところ、取り決めの2倍の金額を出すと言ってきて、みんなを唖然とさせた。
しかし、それが面白くなかったのは三郎だった。
三郎と甚内は実は血縁関係にある実の兄弟で、三郎は浅野屋の長男として生まれていたが穀十田屋へ養子に出されていた。
「なぜ弟ではなく兄の自分が養子なのか、弟のほうが出来がいいから父に選ばれなかった・・・」と三郎はずっと心にひっかかりがあり、今回取り決めの2倍の金額を出すといった弟の成功を妬んでしまい、「金は出すけど名前は外してくれ」と篤平治に言い、それから会合にもこなくなってしまう。
なぜ、弟ではなく兄が養子に出されたのか、それは今後の展開でわかっていきます。
浅野屋親子の信念と覚悟
嘆願書が一度却下になったものの、大肝煎の千坂が再度代官かけあったところ、再び藩へ話を通してもらえることとなった。
それには、浅野屋の先代も住民に守銭奴と言われながらも一人でコツコツとお金を貯めていたというエピソードを知ったことで、気持ちを動かしたのだ。
寛永通宝五千貫文(500万枚)ではなく金千両でなら応じると出入司の萱場に再考してもらって喜んで帰ってきたが、それだと金千両にするには追加で八百貫文(80万枚)が必要になってしまう。
萱場はさらに叩けば金が出ると思ったようですが、現代のお金にすれば家が1~2軒くらい建ちそうな金額。
みんな家財道具を売って作ったお金なので当然頑張っても八百貫文には遠く及ばない。
宿場中でお金を集めてもどうしても足りない。
そんな中、甚内が追加でまた払うと言いだした。
それだと約1億円ほどを一人で負担することになり、いくら守銭奴でお金を貯め込んでいたとはいえ、それ以上出せばさすがに店がつぶれてしまう。
三郎は、浅野屋から酒造りの歌が聞こえないことに気がついた。
酒蔵はもぬけの殻、酒を造ってはいなかった・・・。
浅野屋ははじめから店を潰すつもりで投資していて、既に店は潰れていたのだった──。
また、そのときに「なぜ次男ではなく長男の三郎が養子にだされたのか?」の理由もわかります。
さすがに次男を養子に出すわけにはいかない理由でした。
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